目黒シネマでペドロ・コスタの『骨』と『ヴァンダの部屋』、『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』観た。
『骨』
リスボンのスラム街に住む家族の話。研ぎ澄まされたソリッドな映像と、作り込まれた音が素晴らしい。
部屋の外から聞こえてくる車の音、喧噪がサラウンドで聞こえてきて、まるで本当に街にいるみたいな感覚になる。
『ヴァンダの部屋』
廃れたスラム街に住むヴァンダが妹と麻薬を吸う場面から始まる。壊されていく家、誰も住まなくなった廃墟、街中に鳴り響く工事の音。
地獄のような場所にカメラを向け続けたペドロがそもそもすごい。でもこんな場所でも人は住んで、太陽の光は平等に人々を照らす。
窓にささる光。ビデオカメラの粗い画質が逆に光を粒立たせていて美しい。
この映画でも音は素晴らしくて、サラウンドで聞こえる街の音がすごい。『ヴァンダの部屋』は工事の音とか、騒音がずっと聞こえている。めっちゃうるさいけど、でもこれもヴァンダたち住民の日常なのだ。
『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』
フランスの映画作家ストローブ=ユイレが映画『シチリア!』の編集作業をしているところを撮ったドキュメンタリー。
2人の映画作りを記録したというだけでもはや超貴重な映像。
暗い編集室に籠り作業をし続ける2人。主に編集作業はユイレがしていて、ストローブはその後ろでずっと自身の映画哲学を語り続けている。これはカメラを向けられているストローブなりの演技なのかも。と思ったがユイレの反応を見る限りどうやらいつもこんな感じっぽい。
1カットを1コマずつ確認し、もう1コマ分残した方がいいのか、減らした方がいいのか考えたり、カットの終わりはどこまでがいいのか考え続けたりと、かなり緻密で途方もない作業を淡々と続けるストローブ、というかユイレが凄い。
映画は華やかだけど、実際は物凄く地道な作業の果てに出来るものなのだ。編集室の重苦しさに思わず息を呑んだ。
ラスト、完成した映画の上映に立ち会うストローブとユイレ。不安そうに映画が終わるのを待ち続けるストローブが印象に残った。
ペドロはかなり音を意識している監督なんだと今回の三本で思った。当たり前のことだけど、映画館で上映されることを常に頭に入れて作っていて、撮って終わりなんではなくて作品が上映される空間まで意識している。
映画はやっぱり空間だと再び気付いた。
